わきがの原因で勘違いされやすいのが、多汗症だからわきがになっているということです。
わきがと多汗症は別物で、多汗症だからわきがになっているというわけではありません。
ここでは、わきがと多汗症の関係について、それぞれの特徴をもとに詳しくご紹介していきます。

わきがと多汗症の違い

わきがとは

わきがとは、脇に存在するアポクリン汗腺から分泌される汗が、皮脂や汚れと混ざり合い、それが皮膚上の常在菌によって分解・発酵される際に独特の強い臭いを発生してしまう症状のことをいいます。

私たちは全身から汗をかくことができますが、わきがに関しては「アポクリン汗腺」と呼ばれる身体の一部にしか存在しない汗腺から流れる汗によって引き起こされるものをいいます。

このアポクリン汗腺は人間であれば誰もが持っている身体の器官ですが、生まれつきその働きが強い体質の方だけがわきが体質となるのです。

このアポクリン汗腺は耳の中にも存在することから、「わきが体質の人は耳垢が湿っていることが多い」ということで、セルフチェックの方法としてよく使われます。

また、陰部にもアポクリン汗腺があるため、わきがの方はすそわきがの可能性が高くなります。

しかし、どちらもあくまでのその可能性が高いというだけですので、耳垢が湿っているからといって必ずしもわきがではありませんし、わきが体質の方すべてがすそわきがということではありません。

わきが・すそわきがであるかどうかは医師の診断によって決まります。

多汗症とは

多汗症とはその名の通り汗をたくさんかいてしまう症状のことをいいます。

私たちは主に体温調整のために汗をかきますが、その範囲を大きく超えて多量の汗を発汗する体質の方を「多汗症」と呼んでいます。

これは自律神経の中の交感神経のバランスが崩れていることによって引き起こされており、運動後や暑い時に汗をかいてしまうものとは違います。

一般的に汗をかく状況ではないにもかかわらず汗が多量に出てしまって止まらない、汗をかく状況だとしてもあまりにも異常な量の汗が出てしまうことが多汗症の症状です

わきがと多汗症の違いは、その汗が分泌される汗腺の場所が全く違うというところです。

わきがは「アポクリン汗腺」という身体の特定の部分にしか存在しない汗腺から汗を分泌するのですが、多汗症の方は全身に存在する「エクリン腺」という汗腺から汗をかきます。

ここから分泌される汗は、ほとんどが水分からできておりさらさらとした臭いのない汗だと言われています。

日本と欧米の「多汗症」の考え方の違い

日本では、多汗症もわきがもどちらもあまり良いもではないと考えられることが多いのではないでしょうか。

実際には疾患とされている「わきが」「多汗症」は、生まれ持った体質によるものですから防ぎようがありません。

清潔にしていたとしても臭いが出てしまうし、汗をとめることはできないのです。

しかし日本ではまだまだこれらの症状に対し「不潔なのではないか」というネガティブな考え方が残念ながら根強く残ってしまっている状態です。

一方欧米ではほとんどの方がわきが体質をもって生まれてきます。

ですから、わきがの臭いがあることなど当たり前であって、むしろその人の臭いがセックスアピールとしてすら考えられているのです。

どんな美人な方でもニオイがなければ物足りない、とまで言う人もいるそうです。

日本人からするととてもびっくりしてしまう意見ですが、わきが体質の人が多く臭いに慣れてしまっている欧米でそのような考え方が確立されていることには頷けます。

しかし、「多汗症」に関してはマナー違反としてあまりよく思われません。

そのため、欧米ではわきがの治療よりも多汗症の治療を優先して行うことが多いようです。

多汗症とわきがの関係性

わきがと多汗症の原因やメカニズムは全く違うものであることがわかりましたが、実はこれらには深い関係性があります。

わきがの原因となるアポクリン汗腺からの汗は強い臭いを引き起こすもととなります。

多汗症の原因となるエクリン腺からの汗は特に臭いはありません。

しかし、これら2つの汗が混じってしまうことで、臭いを発する原因が広範囲に広がってしまうのです。

つまり、多汗症によって分泌された多量の汗が、わきがの症状を悪化させてしまう可能性があるということです。

また、わきがと多汗症はどちらも「汗腺」が原因となって引き起こされます。

汗腺の働きが強い・数が多いといった体質によるものなので、多汗症の方はわきが体質であるという傾向が多いのです。

よって、そのどちらも治療していくことが必要になってきます。

多汗症を防ぐには

ストレス解消

多汗症の原因については実はまだ詳しくわかっていないようです。

しかし、自律神経の乱れによって汗が出てしまうということから、おそらくストレスによるものではないかと言われています。

一般的に自律神経は「交感神経」と「副交感神経」でできており、イライラしたりストレスを抱えたりすると交感神経が優位に立ってしまいます。

交感神経の働きには汗を出させる機能がありますので、ストレスによって多汗症を引き起こすというメカニズムは一理あると言えます。

よって、日々の生活でストレスを多く抱えすぎないように、積極的にストレスを解消していく必要があるでしょう。

ストレス社会に生きる私たちですが、それに比例してたくさんの娯楽も生まれてきたと言えます。

スポーツをしたり、音楽や映画観賞を行ったり、自分に合った解消法を見つけましょう。

美味しいものを食べに行って友達と話をする、それだけでも大きなストレス解消になるのではないでしょうか。

手術

多汗症の際にどこの病院にかかっていいかわからない方も多いのではないでしょうか?わきがと同様に、皮膚科・形成外科・美容外科などが挙げられますが、これらのすべてのクリニックで多汗症に対応しているわけではありません。

事前にクリニックに確認しておくとよいでしょう。

病院で行う多汗症の治療方法には「ボトックス注射」「外科手術」「外用薬」「内服薬」などがあり、これらは保険適用で治療することができます

適用できない医院もありますので、こちらも確認しておくことがおすすめです。

ボトックス注射

脇に直接薬剤を注射することによって、発汗のもととなる原因の汗腺の働きを抑えることができます。

しかし、効果は半年間程度しかないため、何度も通院して注射を打たなければならないというのがデメリットと言えるでしょう

これは多汗症だけでなくわきがの治療法としても有効です。

外科手術

こちらもわきがの手術と同様ですが、脇の皮膚を切開して原因となる汗腺だけを直接取り除くと言った手術が多く行われています。

以前では脇の皮膚全体を切り取ってしまうというとても大胆な手術が行われておりましたが、広範囲に渡って皮膚を切ってしまうため運動障害が残ってしまい、今ではほとんど行われておりません。

今ではたくさんの治療法が開発されてきましたので、とても小さな切開で済むものもあれば、切開せずに皮膚の上から行うといった治療法も選択することができます。

外用薬、内服薬

塗り薬や飲み薬による治療法です。

よく使われる塗り薬は「塩化アルミニウム」を含んだもので、これには汗の分泌を控える効果と殺菌効果があり

わきがの治療にも用いられることがあります。

飲み薬には発汗作用を抑える「抗コリン薬」、神経の緊張をほぐすことや体の火照りを抑えるような「漢方薬」が処方されることが多いです。

わきがを防ぐには

多汗症と共通する治療法

わきがと多汗症は違う症状ですが、どちらも汗腺の働きを抑えることで症状を軽減させることができるため、共通する治療法がいくつかあります。

上記の通りストレスの解消をすることはわきがにも多汗症にも効果があります。

また、手術の面でもいくつか同じものがあり「脇の汗腺を取り除く」という外科手術・そしてボトックス注射による汗腺の働きを弱める手術はわきがにもとても効果的です。

清潔にする

わきがの原因は、アポクリン腺からの「汗」と「皮脂」、そして皮膚上の「常在菌」によるものですので、まずは脇を常に清潔に保つことが大切です。

そのためにはこまめに衣服を取り替えることや、汗拭きシートなどで原因となる汗を残さないようにすること、女性であれば腋毛の処理をして汗が溜まらない環境をつくることなどが挙げられます。

男性でも脇の毛を少し短くするといった対策をとることもできます。

常在菌を減らすためのケア

アポクリン腺から分泌される汗が常在菌に分解されることによって臭いを発するのがわきがですので、この常在菌を減らすことができれば嫌な臭いを軽減させることができると考えられます。

今ではわきが専用の石鹸やクリームが多く販売されるようになりました。

毎日の入浴時には殺菌効果のある石鹸で優しく洗うことによってしっかりと常在菌を減らしましょう。

この時、強い効果を得ようとしてゴシゴシと擦ってしまうことは逆効果になります。

刺激によってアポクリン汗腺の働きが強くなってしまうことがあるからです。

優しく泡でなでるように洗いましょう。

また、入浴後にも専用のクリームを使用することで適度な保湿効果と菌の繁殖を抑えることができます。

手術

先ほどは多汗症にもわきがにも効果のある手術方法をいくつか紹介しました。

こちらでは、わきがだけに特化した手術の方法をご紹介します。

わきがの手術として一番行われているのが「剪除法」と呼ばれる手術です。

これは、脇の皮膚を切開し、裏返したところにあるアポクリン汗腺を直接取り除いてしまうというものです。

医師が目で見て確認しながら除去を行うため、汗腺の取り残しが少なく再発する可能性も低い手術です。

また、多くのクリニックで保険を適用して行われていますので、3万5千円程度で受けることができます。

他には、小さく皮膚を切開してアポクリン腺を吸引する「吸引法」、皮膚の上から電磁波を当てることで切開せずにアポクリン腺を破壊することができる「マイクロウェーブ法」などがあります。

しかし、おこれらはほとんどのクリニックで保険を適用することができないため、費用が高額になってしまうのが難点と言えるでしょう。

まとめ

わきがと多汗症の大きな違いは「アポクリン腺」と「エクリン腺」というそれぞれ違った汗腺から分泌される汗によるものだということです。

しかし、汗腺という面で考えると同じ原因になるため、汗腺自体をまとめて取り除く手術によって両方の症状を軽減させることができます

欧米と違い日本はわきがの臭いに対しての理解がまだまだ少ないのが現状です。

また汗をたくさんかくことに関してもあまりいい印象がありません。

どちらも体質によって引き起こされる症状ではありますが、「不潔だからなのではないか」という誤解を持つ方も残念ながら多い状態です。

これらの間違った認識を変え、多くの人がわきがや多汗症への理解を深めていく必要があると言えます。