ワキガと多汗症は別のものだということも、強調しておいたほうがいいでしょう。ワキガは日本では「肺臭症」といいますが、欧米では「服嵩多汗症」と呼ばれています。欧米ではワキガ臭そのものよりも、多量の発汗が問題視されるのです。

欧米ではワキガ体質の人が非常に多いため、ニオイそのものを日本ほど気にすることがありません。海外経験のある方ならお解りかと思いますが、バスや電車の中では息もできない思いをすることも少なくありません。

ところが、彼らにとっては「ワキガのニオイはあって当たり前」なのですから、それを気にする人もいないのです。そのため、ワキガ臭がセックスアピールとしてとらえられるような文化が生まれてくるのです。

「どんな美人でも、その人ならではのニオイがないと何となく物足りない」

そんな言葉に象徴されるのが、欧米のニオイ文化なのです。
そんな欧米でも、多量の汗はマナー違反として嫌われます。ですから治療をするにしても、ニオイよりも「汗の量を調節する」という観点から行われているようです。

一方、日本では「肺宮多汗症」はワキの下に多量の汗をかくことを指し、ワキガとは区別しています。つまりワキガと多汗症は、それぞれ別々の症状なのです。
しかし、ワキガと多汗症はまったく関係がないかというと、そうとも言えません。

そもそも、多汗症はエクリン汗腺から多量の汗が分泌される症状です。この汗にはほとんどニオイがありませんから、これだけで「ワキガ臭がする」ということはありません。

ところが、ニオイの元であるもう一つの汗……アポクリン汗腺と皮脂腺から分泌される汗にエクリン汗腺から出る多量の汗が加わると、どうなるでしょうか? エクリン汗がアポクリン汗を広範囲に流し広げてしまうため、ニオイがワキ全体に広がってしまい、その結果強いニオイが発散してしまうのです。つまり、多汗症はワキガを助長させるものだ、と言うことができるでしょう。

症状としては別物なのですが、実は深い関わりがあるのがワキガと多汗症なのです。実際、ワキガも多汗症も汗腺類の分布の程度や活動の度合いによる症状です。そのため多汗症の方は同時にワキガ傾向を持っていることが多いのです。

日本では欧米と違い、汗とニオイの両方が問題視されます。そのため治療にあたっては「多量の汗と強いニオイの両方を改善する」という視点から行われています。

ワキガにしる多汗症にしろ、原因は汗腺類なのですから、この汗腺類を徹底的に破壊する手法がとられています。ですがその手術法はいくつかの種類があり、どの手法で治療するかはクリニックごとに異なります。古くからある方法で手術を行うクリニックもありますし、最新治療を積極的に取り入れているところもあります。

また症状の程度によっては、日常的なケアだけで汗とニオイを抑えることもできるでしょう。食事に気をつけたり、汗を拭いて清潔を保ったり。制汗剤を使うという方法もあります。

ワキガ・多汗症は確かに病的な症状ではありますが、決して治せないものではありません。それに症状が軽ければ、日常的なケアで充分対処できるのです。